HOME | 2012年 沖縄大会

更新日 2018-08-29 | 作成日 2018-07-27

美術による学び研究会 沖縄大会

詳細や参加については、art@link へ

会場のご案内(予定)

ホテル ゆがふいん おきなわ」 


客室から眺める名護湾 ホテルwebサイトより

NPO法人アートリンクより
出版のご案内

「対話をつなぐ美術鑑賞」



出版にあたってのご挨拶

 一枚の絵を目の前にした時、あなたはどういう風に鑑賞しますか?


 何が描かれているのかを目を凝らして見たり、離れて見て、また近づいたり。手がかりを見つけて、絵を読み解こ うとしたり。はたまた片目つぶったり、匂い嗅いだり? 
私は美術館に行くと多くの人がそうであるように、すぐにキャプションを探していました。キャプションってあれ ね、作者名、描かれた年代、素材、場合によっては、解説なんかが親切に書いてあって、絵の側に貼ってあったりしてるアレですね。絵を見る 前に、まずそれらを読み終えてから見る。すると何だか分かった気がしますね~。絵は見るもの、というより理解するもの、知識として記憶す るもの、教えてもらうもの、と思っていました。それで十分満足だったのです。




 それが、この対話による美術鑑賞に出会って、今まで私は何を見ていたのだろう、絵を見る、鑑賞するとはどうい うことだろうと考えを一変させられました。「芸術は爆発だっ!」の、その爆風を感じることが、まず先だということに遅まきながら気がつい たのです。そしてそれを学校現場に持ち込んで、子どもたちとやってみると、「対話」の力、「芸術」の力、「子ども」の力、そして教師やク ラスメイトとの「絆」が凝縮したような、教育の原点が詰まった時間だと感じたのです。それが出前講座・授業を100回 以上重ねてきた私どもの実感です。


2011年 の夏、アートリンクでは、地域の作家に協力頂いて「対話をつなぐ美術鑑賞・授業づくり講座」を開催しました。この本は当講座を受けた先生 方の授業実践報告を中心に集めたものです。指導案はありません。何故なら授業はライブで発問もその場の状況によって変わっていくからで す。だからこの記録は実践集というよりも実感集ですね、先生と子どもの心温まるエピソード集です。


「対話をつなぐ美術鑑賞」のある所、教師と子どもたちの対等な「対話」のある所、教師の発見と成長が子どもの 学びと幸せにつながるという方程式があると思います。教師とはとても尊い仕事なのです。
 この実感集を手にされて、教師になって良かった、明日からまた子どもたちの為にがんばろう。と思っていただけ たら幸いです。


 数々の実感をお寄せいただきました先生方、アートリンク・スクールや作品提供に快くご協力して下さった美術家 のウエチヒロ先生、大城譲先生、川平惠造先生、喜久村徳男先生、喜友名朝紀先生、新城征孝先生、山城見信先生、与久田健一先生、読谷村立 美術館、発行に携わって下さった前田比呂也先生に心より感謝申し上げます。

NPO法 人アートリンク


理事長 宮島さおり

注文書(クリックしてください)


美術による学び研究会の主旨





近年、アメリカやイギリスの教育界ではeducationという言葉が影を潜め、learningという言葉が多用されてきています。
 これは学校教育の場に限ったことではなく、美術館など社会教育の場でも同様の現象だといわれています。同様にわが国でも、「学びの○○○」や「○○○な学び」のように、学び(learning)を視点とした教育論や授業改革が広まってきています。


 教育(education)という言葉にまとわりついた「教師→学習者」という一方通行的な、知識伝授のイメージを払拭し、教育を学習者の視点から捉え直し再構築するという意味で、学び(learning)という言葉が流通しているのでしょう。


 学習者間の相互作用や共同性、体験や身体性からの育ち、一人ひとりの学びかたや個々に達成されたことなどを重視する学びという視点は、美術の教育においてこそ必要不可欠であると考えます。
 たとえば、相互性や共同性の具体的な表れである対話やしぐさに着目した授業分析、個々と集団における意味生成を充実させる鑑賞や表現のあり方、一人ひとりの育ちや変容の具体的な探究などが、学びという視点からの研究の焦点といえるでしょう。


1953年に翻訳刊行されたハーバート・リードの『美術(芸術)による教育』(“EDUCATION THROUGH ART”)は一つの時代を画しました。それから55年間、わが国の美術教育界ではその時の世相や社会の動向に敏感に応じながら様々な研究がなされてきました。


 それらに敬意を払いつつ、いま私たちはこの名著になぞらえ、「美術による学び」(LEARNING THROUGH ART)について研究することを提唱します。

2008年2月23日
上野行一